サンショウ、クロモジ、ホウバ

ここの三つには関連性はありません。日本料理における超脇役たちとでも言っておきましょうか。
サンショウはミカン科の落葉低木ということで、引きつづきご縁があるようです。果実や葉にさわやかな強い芳香と辛味成分を有しています。若葉(葉サンショウ)や未熟な果実(青サンショウ)は刺身のツマや料理に彩を添え日本料理によくマッチします。成熟した果実は粉末にして「粉サンショウ」として食用にされます。サンショウの生産出荷の実態が農林水産省のHPを見るとわかります。平成19年産では611トンを示し年々増加する傾向にあります。主産地は和歌山県(476トン)で、サンショウがミカン科だからなのでしょうか。
一方、クロモジはクスノキ科の雌雄異株の落葉低木で独特の芳香があることが知られています。クスノキ科の植物にはクスノキ、ニッケイ、ゲッケイジュなど芳香を持つものが多くあります。クロモジの精油採取は地域的に行われているだけで、統計で語られるほどではないようです。烏樟と呼ばれる漢方薬はクロモジの樹皮です。有名な薬酒にも使用されていることはご存知の方も多いのではないでしょうか。
ホウバ(朴葉;ホオバ?)は、いわずと知れたホウノキ(朴の木)の葉です。ホウノキはモクレン科の落葉高木で、花には甘い芳香があります。ホウバにも香りがあります。ホウバは大きな葉で厚さもあり、食品を包むものとして利用されてきました。朴葉寿司、ホウバ餅(柏餅)などがその例です。

伝統食、伝統文化・風習

【山椒】

  • 粉山椒、七味唐辛子、ちりめん山椒、山椒塩、佃煮、漢方(山椒、蜀椒)、すりこぎ

【黒文字】

  • 楊枝、黒文字茶、精油、黒文字垣(垣根)、門松材料、漢方(烏樟)

【朴葉】

  • 朴葉味噌、朴葉寿司、朴葉餅、祭儀の酒器(万葉集で)、漢方(厚朴)

サンショウ

◎サンショウの主な産地
生産量が多いのは和歌山県でダントツの生産量を上げ、続いて京都府、高知県、岐阜県が、平成19年に収穫量を20トン以上上げています。
和歌山県有田川町:

http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/wenarc_news27.pdf(近中四農研ニュース第27号より)

◎サンショウの特徴
葉には極上の芳香があり、実にはさらにピリッとした辛味が加わります。若芽、葉、花、実、樹皮などほとんどの部分が香辛料として使われます。四川料理によく使われる山椒ですが、「麻痺」の「麻」には『ピリピリと痺れる』という意味があるそうです。山椒の辛味は、口中が痺れるような独特の辛さという点では私たち日本人が思っている辛味とは少し異質なものと言えましょう。山椒の辛味成分の正体はサンショオール(sanshool)という不飽和脂肪酸アミドです。大脳を刺激して、内臓器官の働きを活発にする作用があるとされています。漢方の原料として、冷えによる腹痛・膨満感を治療する薬方に配合されます。

◎サンショウの香気成分
kojimaらは、山椒若葉の香気寄与成分を(Z)-3-Hexenal、(Z)-3-Hexenol、Linalool、Citronellol、2-Tridecanone、Geraniolと報告している。飯島らが産地別の山椒果実の香気成分を分析した結果、geraniol関連成分が多いもの(和歌山産、奈良産)とcitronellol関連成分が多いもの(岐阜産、韓国産)に分類され、中国山椒は他の産地の山椒とは組成が異なるとしている。Jiang、久保田は、青山椒(未成熟な果実)のグリーン感にcitronellalが、スウィート感に桂皮酸メチルが寄与しているとしている。

クロモジ

クロモジ

◎クロモジの分布
産地と特定できる場所が容易に見出せないため、分布について述べます。本州、四国、九州などの丘陵帯から低山帯で、疎林の斜面に分布。また、伊豆では採油の歴史があります。

◎クロモジの特徴
樹皮にできる黒い斑点が文字にも見えたことから、黒文字(クロモジ)とつけられました。烏樟というクロモジの幹と枝から取れる生薬は、鎮静催眠(高ぶった神経を鎮めよく眠れるようにする作用)、去痰・鎮咳の作用があります。根皮(釣樟)は芳香性健胃作用があります。昔は枝葉を蒸留して精油(黒文字油)を採っていたそうですが現在はあまり使われていません。

◎クロモジの香気成分
古前らによる「葉」の精油分析では、1,8-cineolが30.6%、linaloolが28.6%、以下α-pinene、limonene、γ-terpineneとなっています。一方、上川・赤壁による「枝」の精油分析では、linaloolが64%を占めて最も多く、次いでgeraniolが8%、(E)-dihydrocarvoneが4%、geranyl acetateが4%、(Z)-linalool oxideが3%含まれていたとしています。

◎クロモジに魅せられた人たち

1) http://www.geocities.jp/kinomemocho/kiasobi_saruya.html
2) http://www.toshiba.co.jp/elekitel/nature/2009/nt_88_krmj.htm

ホウバ

ホウバ

◎ホウノキの分布
ホオノキはモクレン科の落葉高木で、花には甘い芳香があります。日本固有種で日本各地の山野に自生しています。温帯から暖帯上部に分布しています。

◎ホウバの特徴
葉は楕円状の卵の形をしています。長さは35cmから45cmにもなります。幅が12cmから20cmあります。日本産木本種中で最大の葉のひとつです。生葉は水をはじく性質があり、花ほどでないものの香りがあります。また、葉にはhonokiol、obovatolという成分が見出されています。前者は抗腫瘍作用を示し、後者はさまざまな活性を持つといわれている。

◎ホオバの香気成分
中島らによれば、主成分は(E)-β-caryophylleneで、(3Z)-hexanolがベースノートとして香気に関与し、linalool、geraniol、terpinolene、borneolが香気を特徴づけているとしている。

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