香り植物図鑑

香料植物の写真、植物画(カット)を集めました。
ちょっと洒落た文章やエピソードなどとともにお楽しみください。

協力:香料産業新聞社

イランイラン

イランイランの意味はタガログ語で「花の中の花」。花中形は特段魅力的ではないが、特徴的な強い芳香が名の要因になった。花弁は緑色から黄色で6枚あり6cm前後の大きさ。花は1年中咲いているが、精油には5〜6月の早朝に摘んだ花を利用する。精油の香りは濃厚でリラックス感が得られるという。この香料を使用した有名香水は多い。原産は熱帯アジア。100kgの花から約2kgの精油が得られる。バンレイシ科。

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ローズ・ド・メ

花の女王パラは2万種以上を数えるが、花の形や香りに人気が高い。香りの強い品種はロサ・ガリカ、ロサ・ダマスセナである。ローズ・ド・メは、オールドローズの改良種でダマスセナ系統に分類され、香りは濃厚とされる。香料を採るために南アランスやモロッコで栽培されている。花色はピンクで八重一季咲き。ダマスセナ系には、香料バラの代表種であるブルガリアンローズもある。バラ科。

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ホオノキ

花木の中でも大人のこぷしぼどの大き言の花を6月頃に咲かせる。花色は白または洗黄色で甘い芳香がある。葉も大きく長さは優に20cm以上になる。葉も芳香と殺菌作用があり、その効用を活用して葉を食器代わりや食材を包んだりする。また古代人はこの葉を敷いて死人を弔った。樹高は30mほどの高さになり、直径は1m以上で大木。日本固有で北海道から九州に広く分布する。モクレン科。

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チユーベローズ

メキシコ原産で大航海時代の16世紀末、ヨーロッパに持ち込まれた。花の香りはエキゾチックで甘く瞬く間に人気を集めた。花は一重咲き、八重咲きがあるが一重のほうが香りは良い。ヨーロッパからシルクロード等により中国に伝わる。夜に香るこの花を中国人は晩香王と名付けた。台湾や日本は月下香と呼んだ。花は夏に開花し、穂状に咲き花穂は50cmくらいになる。花1トンで精油1kgが採油される。ヒガンバナ科。

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ウメ

原産は中国だが日本に入ったのは奈良時代以前であるから、すっかり日本古来の植物とのイメージがある。実際、日本人はウメを観賞に愛で、食用に役立ててきた。花は芳香があり2月項から開花し、花色は白色または淡紅色。果実は6月項に成熟する。未熟な実は有毒だが、梅干を代表に果実を梅酒、砂糖漬けなどで食用とする。クエン酸などを多く含み健康食品としての人気も高い。バラ料。

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キンカン

果皮に甘味があり生食する。果肉は食せるが酸味が強い。また果実をそのまま砂糖漬けなどして食べる。果皮にはみかん由来のポリフェノール、ヘスペリジン(ビタミンP)を含み、毛細血管の強化、血中コレステロール値の改善などの働きがある。果実は咳や喉の痛みに効果がある。花は2、3cmと小さく白色で5弁。初夏から初秋にかけて2~3回開花する。果実は晩秋から冬に熟す。中国原産で14世紀頃渡来した。ミカン料。

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ストック

この花の人気は、赤、白、紫、ピンク、クリームなどの多彩な色と香りである。南房総の花畑では、今頃は満開に咲いているだろう。l輪程度ならその香りも許容できるが、花束になると香りでむせ返る。原産は地中海北岸で、ヨーロッパ人は、バラやユリなど香りの強い花を好み、ストックもそれに漏れない。そのお陰で欧米では改良が進み、大輪で花色豊富な品種が多数作出された。和名アラセイトウ。アブラナ料。

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レモングラス

香料植物のひとつで、その名の通りレモンの香りを有する草である。草丈は50cmほどに伸び、イネ料に類するように草幅は約2cmと細い。香料以外では、スープやカレー、ハーブティーなどの香味付けに利用する。花は稀に咲く。シトラールを主成分とするレモングラスの同属に、ゲラニオールを主成分とするシトロネラソウがあり、これをシトロネラ油と区別している。原産はインド。

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スイセン

スイセン

原産は地中海沿岸で、人との関係の記録では2千年前にフサザキスイセンとクチベニスイセンが記録にあります。日本も非常に古く平安時代には既に渡来していました。日本に野生化したニホンズイセンは、フサザキスイセンの変種です。多くは園芸品種であり、19世紀半ば盛んに改良されました。20世紀中頃には1万種以上の園芸種がありました。花は春咲きと秋咲きがあります。ヒガンバナ料の球根植物。

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ヤマユリ

ヤマユリ

多くの種類があるユリの中でも特に香りが強いのはヤマユリです。ヤマユリは日本特産で本州地域の山間に分布しています。花は巨大で約20cm径の大きさです。花の香りは濃密。食用に適し、鱗片は高級料理に使用されます。ヤマユリの変種が伊豆諸島で見られるサクユリでさらに花は大型です。ユリは北半球の亜熱帯から亜寒帯に分布し、約96種を数えますが、15種は日本が原産地で名高いです。ユリ科。

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モクセイ

モクセイ

秋に開花し甘い芳香を漂わせます。この香りを好む人は世界に多く、各国で庭園木として植えられています。原産は中国で、暖帯に分布します。中国では花色で品種を分け、銀桂(白色・ギンモクセイ)、橙黄色(丹桂・キンモクセイ)、淡黄色(金柱・ウスギモクセイ)と呼びます。香りの良さはキンモクセイです。中国では桂花と表し、桂の意味は香りを表しています。モクセイ科の常緑小高木で高さは5m前後になります。

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ジャスミン

ジャスミン

香料植物の代表種のひとつ。熱帯から暖帯に分布し、約200種を数えます。香料植物として最も古くから利用されたのが、アラビア原産のマツリカで花色は白です。日本で最も古いものは、江戸時代初期に渡来したオウバイで中国原産、花色は黄色です。インド、アフガン辺りに野生していたソケイが、ヨーロッパに伝わり香料の原料となりました。日本には江戸時代後期に入ってきました。モクセイ料ソケイ属の総称。

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ゼラニウム

ゼラニウム

南アフリカが原産で200種以上があります。種類が多く園芸品として交配を重ねて多くの系統が生まれました。香料に用いるのはニオイゼラニウムなど数種で、種類によって香りも異なり、パイナップル、アップル、ミントなどの香りを有するものがあります。園芸・観賞用に品種改良され、一重咲き、半八重咲き、八重咲きなどがあり、花色も赤系、白、藤など多彩です。フウロソウ料の多年草、和名はテンジクアオイ。

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キササゲ

キササゲ

花は蝶のようであり、実はバニラビーンズのように長く、漢方薬<梓実(しじつ)>としても利用できます。樹木は高木で10mにもなり、水気を好むために、避雷針代わり利用され、神社・仏閣などによく植えられます。写真は、東京上野東照宮で見かけたものです。
キササゲ(木大角豆、学名:Catalpa ovata)
ノウゼンカズラ科の落葉高木。中国中南部原産。日本各地のやや湿った場所に生育。花期は6~7月。甘い香りを漂わせます。
マイナーな木かと思いきや、WEBを見てみると各地で咲いている報告が見られます。中には、15mを超える大木になっているものがあります。東京農工大や前橋市にあるものです。
キササゲは、その実を季語(秋)としています。
「木豇豆の実は豇豆に似何かに似」 高浜虚子
「きささげの千筋に垂るる秋暑かな」 籾山梓月

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ジンチョウゲ

ジンチョウゲ

春を告げる芳香植物。その芳香は強く、数メートル四方に広がります。原産は中国で、端香(ずいこう)と呼ばれました。中国人は古くから人家で栽培しました。つまりこの香りを生活臭のマスキングにも使用したと想像されます。花と見られるのは萼です。園芸種にも取り入れられ、花色で分けるシロバナ、ウスベニを冠したジンチョウゲが生まれました。ジンチョウゲ科の常緑低木で、1mくらいの高さになります。

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ハマナス

ハマナス

ナシに似た果実であるところからハマ(浜)ナシと呼ばれ、東北訛からハマナスとなりました。分布域が東北から北海道の海岸砂地ですから、必然的にハマナスとなります。因みに日本海側は鳥取辺りまで広がっています。花は6月から8月にかけて咲きます。花に芳香があり香料原料となります。現在、日本でハマナス香料は大規模に商業化されていません。果実が9月ごろ赤く熟します。バラ科の落葉低木で高さは1mくらいになります。

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フリージア

フリージア

園芸品種として改良の長い歴史があります。元を辿れば、大航海時代の末期に南アフリカ原産だったアヤメズイセンを英国に運び、英国やオランダで品種改良が盛んに行なわれました。品種改良の動機となったのは、花の芳香で人気を博したことによります。改良により花色は多彩になり、花の大きさも大小様々となりました。花の少ない10月頃から翌年の4月くらいまで咲くため、人気はさらに高まりました。アヤメ科フリージア属の球根植物。

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アネモネ

アネモネ

この花の類は、昼に咲き夕方には閉じる性質があります。これをヨーロッパ人は、美のはかなさと永久と考え、復活と永生の象徴としました。原産は地中海沿岸で、英国を中心に園芸植物として品種改良が行なわれ、その歴史は400年に及び、多くの品種に分けられます。日本には19世紀中頃に渡来。30cm前後の高さの茎の先に花をひとつつけます。花色も多彩。一重咲きや八重咲き、小輪、大輪など形も様々です。キンポウゲ科イチリンソウ属。

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シクラメン

シクラメン

彩のない冬に愉しませてくれるのがシクラメンで、花色も多彩です。原産はシリアからギリシャで、18世紀にヨーロッパに伝わり、日本へは明治時代に渡来しました。花色と形の品種改良が盛んに行なわれましたが、香りだけが取り残されました。そこで芳香のあるシクラメンを埼玉県農林総合研究センターが96年につくりました。バラとヒヤシンスを合わせたような香気です。日本の鉢植え植物では最も生産されています。サクラソウ科シクラメン属。

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モモ

モモ

食用の歴史は大変古いです。原産は中国・黄河上流で、 世界各地に伝えられました。日本には平安以前に伝わったとされます。果実に細毛があるのをモモと指し、無毛はネクタリン、円盤状がバントウ。日本で食用栽培が本格化するのは、明治時代に上海水蜜桃が輸入され、これをもとに品種改良が進められました。収穫量日本1位は山梨県。民話「桃太郎」や桃の節句は、桃が邪気を祓う力がある、との考えから発しています。バラ科モモ属。

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ヘリオトロープ

ヘリオトロープ

あまりにも有名な香料植物。別名を「香水木(コウスイボク)」「香水草(コウスイクサ)」とも呼ばれます。原産は南米ペルー、エクアドルで、明治時代中期に渡来しました。花は約3mmと小さく、密集して咲く。花色は紫色で日が経つと白くなります。鉢物で近縁のニオイムラサキをヘリオトロープと混同することがあります。花の開花時期は長く、冬から咲きはじめ秋まで続きます。高さは60cm前後に伸びます。ムラサキ科ヘリオトロピウム属。

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ショウガ

ショウガ

地下茎を食用とします。地下茎にはα-ピネン、ネラールなどの芳香成分とショウガオールなどの辛味成分が含まれます。地上には葉が伸び、草丈は50cm以上になります。花茎を地下茎から伸ばし、黄色の花穂をつけますが、あまり見られません。原産は熱帯アジアで、ヨーロッパには1世紀項、日本には平安以前に渡来しました。漢方薬では生姜(しょうきょう)と呼び、悪寒発熱、健胃、鎮嘔、新陳代謝などに用いられます。ショウガ科ショウガ属。

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カモミール

カモミール

ヨーロッパで最も古い薬草です。効能は健胃、発汗、婦人病などです。ハーブとしても人気があります。全草や花に芳香を有しています。これらの匂いが害虫予防にも役立ち、キャベツやタマネギのそばに植えるとよいです。花の匂いはリンゴに似ていると感じた古代ギリシャ人が、大地のリンゴを意味するカモミールとつけました。原産はバルカン半島から西南アジア域。日本には19世紀にオランダより渡来しました。キク科シカギク属。

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ニセアカシア

ニセアカシア

原産は北米。明治初期に渡来し、アカシアと呼ばれましたが、後にアカシアが入ってくると、区別するためニセを冠しました。花は蝶々のような形をして白色で、芳香が強く食せます。また、上質な蜜を含み蜜源植物として重要とされますが、葉、果実、樹皮には毒性があります。ニセアカシアは丈夫で成長が早く街路樹、公園樹などに活用され広まりましたが、要注意外来生物リストにあげられ、駆除(伐採)が検討されています。名前を間違えられ、今では邪魔にされているなんて踏んだり蹴ったりですね。マメ科ハリエンジュ属の高木。

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ムスカリ

ムスカリ

鮮やかなコバルトブルーの花は印象的です。花は、ジャコウ様の香気があります。香りが名の由来で、ムスカリはギリシャ語のモスコス(ジャコウ)から。花は4月から5月にかけて咲き、ブドウの実のようにつけます。別名ブドウヒアシンスとも呼ばれます。原産は地中海から西南アジア域で、50類が分布しています。日本には30年程前に入り、栽培のしやすさから花壇に用いられます。数年でカーペットのように広がります。ユリ科ムスカリ属。

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