フレーバーとは

私たちが食べ物を「おいしい」とか「おいしくない」とか感じているのは、味だけで感じているのでしょうか。そうではありません。食べ物が本来持っている香りによっても食事を楽しんでいるのです。

たとえば、ガムにフレーバーが入っていなかったら、ゴムを噛んでいるような感じで味がなく美味しさは感じられません。炭酸飲料にフレーバーが入っていなかったら、単なる甘い砂糖水のようであまり美味しくありません。

フレーバー(食品香料)は、口から摂取する食品に付与することを目的とした香料のことです。味は、それ単独ではなく香りと一体となって知覚され、この感覚を食品学では、フレーバー(Flavor:風味、香味)と呼んでいます。一般に、おいしさにはこの味(Taste)と香り(Aroma)が大きく関与しているとされ、よりおいしく食べられるようにするために食品に香りを付けます。

このサイトでは、食品学の定義とは別に、食品に香気を付与増強する食品香料をフレーバーと呼ぶことにします。

一方、我が国の食品衛生法では、香料を「食品の製造または加工の工程で、香気を付与または増強するために添加される添加物及びその製剤」と定義しています。

フレーバーの目的

食品に香料を添加するのは、よりおいしく食べられるようにするためです。炊き立てのご飯や温かい味噌汁の香りをおいしそうだと感じるように、香りはおいしさを構成する重要な要素だからです。

フレーバー(食品香料)の目的は、それ以外の目的―たとえば食品の色の調整や腐敗を防ぐ等―を持つことはありません。

▲ページ上部へ戻る

フレーバーの役割

フレーバーは、おいしく価値のある食品を作るために、以下の役割などを果たしています。

1)「強化(着香)」
食品が本来持っている香りを強化し、香りが少ない素材に香料を付与する。
2)「補香(賦香)」
加工や流通の過程で食品素材本来の香りがなくなったり少なくなったりする場合に素材本来の香料を補う。
3)「風味矯正(マスキング)」
食品素材本来に好ましくないにおいがある場合や、加工工程で発生する加熱香や発酵臭などにより食品として適さないにおいが生じる場合に風味矯正のために香料を使用してマスキングすることがある。

▲ページ上部へ戻る

フレーバーの製品形態

フレーバーには、それぞれの食品や加工方法に適した形状が必要です。なぜなら、食品の形態は多種多様だからです。液状のものもあれば固形のものもあったり、飲料の多くは水性ですが、調理には油を使うことが多いためです。香料メーカーは、調合したフレーバーを添加する食品に適し、取り扱いが便利な製品形態にして出荷します。代表的な形態は4種類です。

水溶性香料
調合された香料ベースを含水アルコール、プロピレングリコールなどで抽出・溶解したものです。あまり加熱工程のない飲料やアイスクリームなどに用いられます。エッセンスと呼ぶこともあります。
油溶性香料
フレーバーベースを植物油などで溶解したものです。耐熱性があるので、クッキーやビスケットなどの焼菓子やキャンディーなどの加熱処理工程が必要な食品の香り付けに用いられます。
エマルジョン(乳化香料)
乳化剤や安定剤を使い、フレーバーベースを水に乳化させ微粒子状態にしたもので、香りがマイルドで保留性がよいことが特徴です。飲料ににごりを与えることもあるので、クラウディーとも呼ばれます。清涼飲料水や冷菓などに使用されます。
粉末香料
フレーバーベースをデキストリンや天然ガム質、糖、でんぷんなどの賦形剤とともに乳化させた後、噴霧乾燥させて粉末化したり乳糖などにフレーバーベースを付着させたりしたものです。賦形剤でコーティングされているので取扱いが便利で安定性もあります。粉末スープやインスタント食品のほか、チューインガムなどに利用されます。

▲ページ上部へ戻る