ユズ、スダチ、カボス

酸味が強く、生食にむかない柑橘類を「香酸柑橘(こうさんかんきつ)」といいます。香り高いユズ(柚子)、スダチ(酢橘)、カボス(香母酢)は、これに入ります。
ユズの原産地は、中国の長江上流域といわれています。日本には奈良時代前後に渡来したとされています。スダチは、ユズの近縁種として300年前に徳島で作出されました。カボスは、ユズの近縁で大分県にふるくから分布しています。農林水産省の統計を見てみますと、ユズの平成19年の出荷量が18,845トン、スダチが6,350トン、カボスが4,827トンとなっています。20年前と比較すると、ユズが出荷量で1.7倍の伸びを示し、スダチ、カボスは横ばいといえます。ただし、ユズは1個当たり100~120g、スダチは30~40g、カボスは100~150gあるといわれていますので、ユズとスダチの生産個数はおなじぐらいかもしれません。

伝統食、伝統文化・風習

「ポン酢」
柑橘類の果汁をポン酢と呼んでいます。それはオランダ語の"pons"が「柑橘類の果汁」を意味するところから来たとする説があります。今まで見てきたとおりこれらの酸味の主成分はクエン酸です。それは、醸造酢が酢酸を主成分としていることの違いにより利用の仕方が異なります。鍋には、酢酸が揮発して刺激が強いため好まれません。逆に、柑橘果汁酢はまろやかな酸味を引き出します。淡白な味の日本料理には最適です。

「その他」(どんなものかは調べてください)

  • 柚子胡椒、酢橘胡椒、香母酢胡椒
  • 柚子味噌、酢橘味噌、香母酢味噌
  • 柚餅子(ゆべし)
  • 柚子茶
  • 柚子湯、酢橘湯、香母酢湯

ユズ

ユズ

ユズ

◎ユズの主な生産地
高知県、徳島県、愛媛県、宮崎県、大分県が平成19年に1000トン以上の収穫量を上げています。
高知県北川村:
http://www.kitagawamura.jp/
高知県馬路村:
http://www.yuzu.or.jp/
徳島県那賀町木頭:
http://www.kitou-yuzu.com/yuzu.html

◎ユズの特徴
青ユズと出荷される未熟のユズは、ユズ本来の香りがあり、果皮が緑で糖度が低く酸度が高い。スダチ、カボスと違い、青ユズ、黄ユズはいずれの時期でも有効利用できるのがユズの特徴である。また、果皮、果汁ともに栄養価が高く有効利用されている。ビタミンCやミネラルが豊富。

◎ユズの香気成分
ユズ精油中では、モノテルペン炭化水素、ジテルペン炭化水素合わせると92%ほどを占めます。特に多いのがd-リモネンで約60%を占めています。しかしながら、ゆずを特徴的にあらわした香気とはいえません。沢村はその著「ユズの香り(フレグランスジャーナル社)」に、最近の特徴的芳香成分について概説しています。

>2006年「大久保ら」による・・・(6S)-Methyloctanal、(8S)-Methyldecanal
(第50回「香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会(略称TEAC)」において発表されたもの。研究者らによれば、(6S)-Methyloctanalの香気は、「フレッシュなグリーン感と甘いシトラス感をもった風味。」であり、(8S)-Methyldecanalは、「フレッシュなグリーン感と苦味を感じさせる。ユズを思わせる風味。」と香味評価している。)

『この項では、TEACで発表された報告を数多く引用しています。最新の研究を知ることができるわけです。TEACについては、日本化学会 の討論会・講演会情報」でその年の開催内容について知ることができます。』

>2007年「宮里ら」による・・・・trans-4,5-epoxy-2E-decenal
(第51回TEACにおいて発表されたもの。その香気は、草様・金属様・アルベド<果皮内壁の白い部分>様と記し、ユズ香に果肉・果汁感を付与すると評しています。)

また、テレビで有名になった『ユズノン』の研究(2009年、宮沢ら)があります。ユズノンとは、(6Z,8E)-undeca-6,8,10-trien-3-oneのことです。ユズ、スダチの果皮に確認されており両者の果実が持つ爽やかさの一因といえます。ユズノンについてくわしく知りたい方は、こちらを参照ください。
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jf803257x

ユズノン

スダチ

◎スダチの主な生産地
徳島県がダントツの収穫量(7294トン/平成19年)を上げています。
徳島県神山町:
http://http://www.town.kamiyama.lg.jp/office/business-information/sangyoukanko/a1010508/%E7%A5%9E%E5%B1%B1%E7%94%BA%E7%89%B9%E7%94%A3%E5%93%81%EF%BC%88%E3%81%99%E3%81%A0%E3%81%A1%EF%BC%89

◎スダチの特徴
スダチの果実は小振りで、25~50gほどです。未熟の状態で出荷されます。その理由は果汁中の酸(クエン酸が主成分)含量が多く、果皮の香りが高いからです。スダチは特有の香りが魅力です。また、スダチチン、デメトキシスダチチンといったスダチ固有のフラボノイドを含み、今研究対象として注目を浴びています。

◎スダチの香気成分

  1. 果汁
    甘い香りに寄与している成分として、楊・杉沢はNonanal(C9-Aldehyde)、Decanal(C10-Aldehyde)、Octyl acetate、Undecanal(C11-Aldehyde)、Nonyl acetate、Dodecanal(C12-Aldehyde)、Decyl acetateを上げている。一方、最近の研究(2009)では、富山らはwine lactone、4,5-epoxy-(2E)-decenal、ethyl butyrate、cis-rose oxideなどを寄与成分として報告している。
  2. 果皮
    また、富山らは、果皮に関して、Linalool、Yuzunone、4,5-epoxy-(2E)-decenal、wine lactoneが寄与しているとしている。

カボス

◎カボスの主な生産地
大分県がダントツの収穫量(5019トン/平成19年)を誇っています。
大分県カボス振興協議会:
http://www.oitakabosu.com/

◎カボスの特徴
カボスも未熟の状態で出荷されます。クエン酸含量は同量のレモンにくらべ約2倍含まれています。食酢などに比べるとまろやかな酸味といえます。ミネラル由来の塩味・苦味・甘味が相対的に高いことも独特の風味を醸し出しているのかもしれません。

◎カボスの香気成分
Tu、Onishiらは2002年にカボスの香気寄与成分を(R)-(+)-citronellalと報告しています。その香調は、フルーティでフレッシュでカボス様と説明しています。
富山らは2010年のTEACの発表で、果皮の主要な香気成分は、limonene;75.5%、myrcene;17.7%、γ-terpinene;2.9%、α-pinene;0.7%などが占め、含酸素画分における香気寄与成分をlinalool、(2E)-4,5-epoxy-2-decenal、octanal、(4Z)-decenal、β-citronellol、geraniol、wine lactone、cis-rose oxideなどとしている。一方、果汁においては、limonene;71.9%、myrcene;19.0%、γ-terpinene;4.7%、β-caryophyllene;0.9%、α-pinene;0.6%を占め、含酸素画分における香気寄与成分をwine lactone、linalool、eugenol、(2E)-4,5-epoxy-2-decenal、geraniolなどとしている。

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