柳川は「もたせ」という技術を駆使した掘割をめぐらせた城下町です。水郷柳川の魅力は、掘割はもちろんのこと、ドンコ舟、それを掉差す船頭、船頭の軽妙な語り口と掘割に響きわたる唄声、歩くよりも遅そうな操船による揺蕩う時間(舟から見渡す町並みや川面に映える季節の花や木々そして川を渡る一陣の風)、あるいは行き交う橋上の人やすれ違いドンコ舟の観光客との一瞬のふれあい、それらが混然一体(五感を振るわす)となって醸し出すあたかもよくできた調合香料のようなハーモニーの良さである。それらすべては日本のおもてなしの心に癒されたような心地よさがある。
船頭
もちろん、「うなぎのせいろ蒸し」にみられる鼻に抜ける芳ばしい香りとうなぎの食感も忘れることができない。