フレーバーの安全性

合成香料の安全性

天然のバニラビーンズ イメージ

天然のバニラビーンズ

合成香料に対して安全性を危惧する人がいます。これは「合成」あるいは「化学的生成物」という言葉のニュアンスに対する懸念です。合成香料は、化学的構造の面からみると、ほとんどが天然香料物質か食品成分と同一なものです。たとえば、バニラ豆の成分としてのバニリンも木材のリグニンを原料に合成されたバニリンも、バニリンという物質としてまったく違いがありません。さまざまな果物に含まれているエステル類も、乳製品に含まれているラクトンもこれと同じことが言えます。

香料の安全性の特性

香料の安全性は、ほかの食品添加物に比較すると次の3つの特性があります。

  1. 必要量を超えると不快になる…フレーバーは、食品が本来持っている風味に、加工食品を近づける(「自然の模倣」)ために使用します。さらにそのフレーバーは、過剰になると不快になって食品としての価値を失ってしまうので、その使用量は自ずと制限(selflimiting)されます。
  2. ほとんどの成分は天然食品に含まれている…食品自体に化学構造が同じ香り物質が含まれており(常在成分)、ほとんどの場合その量は香料として添加される量よりも多く、また添加される香料の成分も天然香料であるか、食品の常在成分です。
  3. 使用濃度が低い…本来食品に含まれている香り成分が微量であるために、食品の加工に利用される香料も低くてすみます。ほとんどの食品でその使用量は10ppm以下で、1ppm以下の濃度でも十分な効果を発揮するものがあります。

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食品香料の表示

食品衛生法は、食品の品質管理と消費者に情報を提供するために賞味期限や添加されている物質などを、原則として、表示しなければならないと定めています。しかし、使用量も百万分の1桁台と極めて少なく、微量な成分を数十種類も調合してつくられているフレーバーは、配合した物質名をすべて表示するとかえってわかりにくいことから、一括して香料とだけ表示されます。一括表示できる添加物は、香料以外に食品のなかに含まれている成分で構成されている調味料や通常は飲み下さないガムベースなど合計14種類です。

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食品添加物の安全性を確認する各種試験とADI

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食品添加物は、「食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針」で定められた試験で安全性が確認されることが必要です。安全性を確認するための標準的な試験には、一般毒性試験のほかに、繁殖試験や催奇形性試験、発がん性試験、抗原性試験、変異原性試験などの特殊毒性試験などがあります。

各種毒性試験の結果から、当該物質の投与によって有害作用が観察されない最大投与量を判定し、実験動物の体重1kg当たりの摂取量(mg)で表される無作用量(最大無毒性量)が決まります。

次に、ヒトと実験動物の違いやヒト同士の個体的な違いを考慮して100分の1を乗じた「毎日摂取しても健康を損なうおそれのない一日許容摂取量(ADI)」を設定します。厚生労働省の調査研究で、市販の加工食品に実際に含まれている食品添加物の量は基準値を大幅に下回り、ADIを十分に下回っていることがわかっています。

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